PHOTOGRAPHER 加藤 アラタ (カトウ アラタ)
February 21, 2010
JAMOOL編集部が注目するクリエイターを特集。
作品を通して彼らの想い・考え・志向性に迫る。
加藤 アラタ/カトウ アラタ
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PHOTOGRAPHER
加藤 アラタ/カトウ アラタ
1975年東京生まれ。1998年同志社大学文学部社会学科卒業。写真家に師事。2003年より独立。
アルバート・ワトソン曰く「私は今日ファッションモデルを撮って、明日は冷蔵庫を撮りに行く」。そんな写真生活に憧れる小さな小さなフォトグラファー。
TEL : 090-2725-2564
URL : http://kesiki.com/
- CREATORS Q&A
- Q1. 写真家になった理由・きっかけは何ですか?
- きっかけ。
大学生の頃、いわゆる享楽的な「キャンパスライフ」に馴染めず独り腐っていた。二十歳の時、ふと思い立って一人でタイ旅行に出てみた(いしだ壱成さんが、「タイは若いうちに行け!」というコピーを旅行会社のCMで格好良く言っていたから)。これが見事にハマってしまい、以後金を貯めてはどこぞに旅に出る生活が始まる。
二度目の旅の時、実家の父親がミノルタの「α7000」を持っていたことを思い出し、ヨーロッパ旅行のお供に。自分を撮ってくれる人が居ないので、後で見た時に記憶のフックになるように色んなものを撮った。行った場所、出会った人、食べた物、街灯や車窓や路地のそこかしこ。今思うと、生まれて初めて「記念写真」じゃない写真を撮った。「風景」という被写体を撮ってみたのもこの時が初めて。
帰国して、京都の小さなラボでL版プリントした時に、非常に大きな勘違いをした。つまり「自分には才能があるんじゃないか!」と。勘違いだけでなんとか15年保っているから、今ではその衝動に感謝している。才能無いけど。
理由。
同級生達が就職活動を始めた頃、いや、もう内定を貰っている頃、未だに「働く」ということへのイメージが湧いていなかった。モラトリアム的現実逃避で、それでも海外に行ってしまう肝っ玉もなく、大学4年の夏に京都から鳥取まで友達のカブを借りて旅に出てみた。
9号線を9時間かけて辿り着いて、砂丘の近くの公園で野宿したら大雨に打たれて、心も身体も弱らせておめおめ翌日帰京した(「下関まで行ったる」くらいの気合いだったのだが)。疲れて京都に戻った時に「もう逃げられん!」と悟り、少しだけ考えて、一生取り組めそうなこと、好きそうなこと、才能がありそうなこと、あとは、なるべく小さくて分かりやすくて、自分一人で完結できそうなことを仕事にしようと決めた。その時初めてプロカメラマンになることを意識した。
- Q2. 写真のどういうところに魅力を感じますか?
- 僕は「アルバム」が好きです。自分のはもちろん、祖母の死後に見つけた幼い頃の父親が写っているアルバム、友人のアルバム。最高の写真集だと考えています。
写真は「記録」する媒体であると共に、時間や情緒、愛情や関係性を固定化し、具現化する「表現」になり得ると思います。
うまく言えないのですが、それを写している人間にとっても表現であり、そこに写されている被写体(それが人であれ物であれ風景であれ)にとっても表現である。
そんな、合わせ鏡のような交流が出来るところが好きです。
あとは、私的なことなのですが、僕自身はこの広い世界の中で、生身一つで出来ることはとても少ないと感じています。一生という時間の中でも。肉体を離れ、写真が僕という個の分身として世界に作用してくれるとするならば、それが無い世界よりも、より豊かな時間を得られるんじゃないかと思えます。少しだけ、得をして生きているような気にさせてくれることに感謝します。
- Q3. ご自身の写真のオリジナリティはどんな部分にありますか?
- それは一生の課題です。現時点ではとても見つけられないし、あるいはずっと分からないかもしれません。
ひとつ思っているのは、もしそれが掴めるとするならば、自分が決めたオリジナリティに対して写真を「嵌めて」撮って行くのではなく、多種多様な写真を築いて行く中で、どうしても抗えない「何か」が発見出来れば、それがオリジナリティと呼べるのかもしれない、と予感します。
- Q4. 撮影する際に特に意識していることは?
- 前述に倣いますが、自分の写真が誰かの「アルバム」になって欲しいな、という思いです。自分にとってなのか、被写体にとってなのか、関わってくれた人達なのか。誰でも良いのですが、アルバム的な何かを撮りたいと常々思っています。
- Q5. これまでの撮影で最も印象的なものを3つ挙げるとしたら?選んだ理由は?
- 毎回違う時間と場所で、ほぼ毎回違う人達とセッションするのでやはり全てが一期一会で特別なのですが、ひとつあげるとすれば数年前にスタイリストの本庄克行さんとヘアメイクの三輪彰さんと一緒に行ったインドでのシューティングを思い出します。
Tシャツの企画で、〆切りと予算が決まっていて、何をしても良いから6ページ作れば良いという案件だったので、思い切ってインドに行ってしまいました、ちなみに全員赤字です(笑)。街で出会った人にその場で交渉してTシャツを着てもらって撮影したのですが、子供を探してある住宅街に入った時に、最初は人っ子一人居なかった広場で、帰国日だったので絶望しながら、それでも歩いて来た二人の男の子にポラを撮ってプレゼントしたら、今までどこに潜んでいたのか、至る所から子供達が「わたしも!わたしも!」と湧き出て来て、こちらスタッフも「今しかないよね?」というアイコンタクト。皆を並べて、真ん中の兄妹にメッセージTシャツを着てもらって1ロールだけ撮りました。
言葉が通じない国での、まさにCAMERA TALK(フリッパーズ世代なので)。写真が、自分自身以上にコミュニケーションしてくれた思い出深い撮影です。
- Q6. 特に好きなジャンルの写真は?その理由は?
- ランドスケープが好きです。別にそこらの近所の写真でも良いのですが、もの言わぬ世界が、ふと何らかの表情をこちらに向けてくるような。そんな神懸かった写真に感動を覚えます。
- Q7. 写真家として影響を受けたヒト・コト・モノはどんなものですか?どういう部分で影響を受けましたか?
- スキルとしての写真もとても大切ですが、本質的には「関わり方」の作業だと思っています。なので、自分を作る全てが影響していると考えています。自分のトータルとしての写真。
そういう意味では、良いことも悪いことも含めて今までの時間全ての発露が写真だと思っています。出会った人と出来事全て大事。強いてあげるなら、両親と祖父と祖母。
- Q8. 死ぬまでに絶対撮ってみたい対象は?それはなぜですか?
- 家族。〆切り時間が決まっていて、未だうまく撮れないから。
- Q9. 最近のマイブームは何ですか?
- 哀しい程無趣味。静やかな生活が大好物。でもアルコールは止められません。
- Q10. 最近お気に入りの音楽・映画・本・アート等はありますか?
- 音楽 : おおはた雄一さん。アルバム「ふたつの朝」のジャケットを撮らせてもらいました。同い年ということもあり、彼の動向は常に気になっています。
映画 : 園子温さん。去年一番印象深い映画は「愛のむきだし」。撮影段階でどの程度脚本が出来ていたのか、どういう撮り順で撮って、ひとつのシーンにあんな込み入った感情を入れ込めるのかが非常に気になります。
本 : 村上春樹さん。「1Q84」。どのページから読んでも、どれだけ少ない文節でも、感動と柔らかな哀しみがある。最高の恋愛小説。
アート : アートとはちょっと違うけど、民俗学に興味があります。 杉本博司さんは最高の芸術家であり写真家だけど、とても優れた民俗学者でもあると思う。
- Q11. 今、一番欲しいものは何ですか?
- 勇気。
- Q12. 今後の取り組み・お知らせなどあればどうぞ。
- 仕事のカテゴリーとしては、出たとこ勝負の居合い切りみたいな撮影が多いので、もう少し腰を据えてディレクションに関われるような方向性を増やして行きたいです。あとは旅を題材にしたお仕事と、前から興味があった文章を書くことにも取り組んで行きたいです。ジャンルに選り好みが無いので、とにかく何らかのシャッターを絶えず切っているような生活をして行きたいです。あとは、しばらくやっていないので、ある程度写真が貯まったら個展も考えたいです。
それと、去年、ブランド「mean」のコレクション用イメージの映像を撮りにルーマニアに行きました。 デジタル一眼レフの動画機能を使って撮影し、構成をディレクションして、映像作家の y u m i h e y ∞さんに組んでもらいました。リンクから21分の短編が見れるので、是非ご覧下さい。
END OF MY JOURNEY http://vimeo.com/9251876
y u m i h e y ∞ http://www.yumihey.com/
mean http://www.mean.co.jp/
- Q13. 最後に、今後のJAMOOLに期待することがあれば教えてください。
- 今回、このような機会を与えてくれたJAMOOLの皆さんと、推薦してくれたブランド「mean」の大切な仲間達に感謝します。これからも僕たちを刺激し続ける情報を発信し続けて下さい。ありがとうございました。
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JAMOOLに集う様々なクリエーターが、彼らの作品を通じて、互いに刺激を与え合う。
ここから、新たなコラボレーションを生み出していきたい。

